2階建て住宅の外壁塗装の費用相場は？DIYと比較してみた

総務省統計局「住宅・土地統計調査」によれば、戸建て住宅で2階建てが占める割合は約87％とのこと。近年、都内のような狭小地では3階建て以上の住宅が増えてきましたが、戸建てのスタンダードは、今もなお2階建てとなっています。

そこで今回は、2階建ての外壁塗装の費用相場について詳しくご紹介していきたいと思います。延坪数別、使用する塗料別での比較表で分かりやすくまとめました。

また、DIYで外壁塗装を行った場合の費用や注意点についても解説しますので、ぜひ、ご参考にしてみて下さい。

2階建てを外壁塗装する場合の費用相場

2階建てを外壁塗装する場合の費用相場ですが、坪数ごとの価格は以下の通りとなっています。

坪数（2階建）	費用相場
20坪	58万円
30坪	87万円
40坪	116万円
50坪	145万円
60坪	175万円

延坪単価が2.9万円となっていますので、ご自宅の延坪数が分かるようであれば、さらに詳しい相場を計算できると思います。

ただし、上記はあくまでも相場。使用する塗料、また依頼する業者によって価格は異なるため注意して下さい。

2階建ての外壁塗装の見積もり例

続いて、実際に2階建ての外壁塗装を依頼した場合を想定して、見積もり例を出してみました。延床面積は35坪で外壁面は「118.8㎡」、足場面積は「198㎡」として計算しています。

塗料はシリコンを使用で3回塗り、他にもシーリング打ち換えや付帯部塗装も行った場合の見積もりになりますので、相場より若干高くなっています。

項目	単価	単位	数量	金額
足場	600	㎡	198	118,800円
メッシュシート	100	㎡	198	19,800円
高圧洗浄	200	㎡	118.8	23,760円
養生	200	㎡	118.8	23,760円
外壁塗装：下塗り（シーラー）	800	㎡	118.8	95,040円
外壁塗装：中塗り（シリコン塗料）	2,500	㎡	118.8	297,000円
外壁塗装：上塗り（シリコン塗料）	2,500	㎡	118.8	297,000円
付帯部塗装（破風・鼻隠し・軒天）	1,000	㎡	80	80,000円
付帯部塗装（雨樋・水切り）	1,000	m	80	80,000円
付帯部塗装（雨戸・戸袋）	1,500	枚	12	18,000円
シーリング打ち替え	800	m	100	80,000円
合計				1,133,160円

一般的な2階建てのお家の外壁塗装を行うと、費用相場は113万円ほどになります。続いて、上記の見積もりの各項目の解説をしていきます。

足場

外壁塗装工事を行う際には、職人が作業しやすいために足場を設置します。敷地の広さ、接する道路幅など、足場の組みやすさ搬入のしやすさでも価格は異なります。

メッシュシート

足場を組んだ後はメッシュシート（養生シート・飛散防止ネット）と呼ばれる網目状のシートで建物を囲います。メッシュシートの役割は、高圧洗浄時の水の飛散防止、塗料の飛散防止、工具の落下防止、職人の落下防止、騒音軽減といった目的で設置されます。

高圧洗浄

プロ用の強力な高圧洗浄機を使って、外壁に付着した汚れ、コケ、カビ、古い塗膜などを綺麗に洗い流していきます。

シーリング打ち替え

外壁材の隙間にはシーリング材（コーキング材）と呼ばれる接着剤のような建材が充填されています。シーリング材は経年劣化で古くなるとひび割れをおこし、そこから雨水が染みてしまいます。雨染みを防ぐために、古くなったシーリング材を取り除いて、新しいシーリング材を充填します。これを「シーリング打ち替え」と言います。

養生

外壁や塗装部以外の場所、例えばサッシやエアコン室外機、給湯器などに塗料が付着しないようにビニールやテープを使ってしっかりと養生します。

下塗り（シーラー）

まず初めに、外壁の塗装面と塗料の密着性を高める効果の液剤（シーラー、プライマー、フィラーと呼ばれるもの）を使って下塗りします。

中塗り・上塗り

下塗りがしっかり乾いたら中塗りと上塗りを行います。シリコン塗料以外にも「ラジカル塗料」や「フッ素塗料」といった耐久性に優れた高いグレードの塗料も選べます。

一般的な業者は、下塗り、中塗り、上塗りと計3回の塗装を行いますが、なかには4回、5回と塗り重ねる業者もいます。塗回数が増えると耐久性はアップしますが、工期は長くなり、費用も高くなるので注意しましょう。

付帯部塗装（破風・鼻隠し・軒天）

破風、鼻隠し、軒天といった屋根側の付帯部を塗装します。屋根塗装ではなく外壁塗装のとして行われる場合がほとんどとなっています。

付帯塗装（雨樋・水切り）

雨水を排水する雨樋、住宅の基礎部分を雨から守る水切りを塗装します。雨樋は主にプラスチック製、水切りは主に金属なので、外壁塗料とは別の塗料を使用します。なお、こちらはメートル単価での見積もりとなります。

付帯塗装（雨戸・戸袋）

雨戸、雨戸を収納する戸袋の塗装も行います。雨戸も戸袋も多くの場合は金属製なので、こちらもサビに強い金属用の塗料を使用します。

2階建ての外壁塗装の施工事例

続いて、2階建ての外壁塗装の施工事例をご紹介します。エリアや築年数、外壁材などの違いも参考にしてみて下さい。

外壁塗装費用：110万円（千葉県 2階建て戸建 35坪）

住所	千葉県柏市南逆井
築年数	築23年
外壁面積	140㎡
外壁材	窯業系サイディング
塗料グレード	シリコン塗料（溶剤系2液型）
その他	付帯部塗装
工期	3週間

外壁塗装費用：98万円（埼玉県 2階建て戸建 33坪）

住所	埼玉県川口市朝日
築年数	築21年
外壁面積	128.00㎡
外壁材	窯業系サイディング
塗料グレード	シリコン塗料（水性）
その他	付帯部塗装
工期	2週間

外壁塗装費用：105万円（神奈川県 2階建て戸建 31坪）

住所	神奈川県藤沢市辻堂
築年数	築13年
外壁面積	121.00㎡
外壁材	窯業系サイディング
塗料グレード	シリコン塗料（溶剤系2液型）
その他	付帯部塗装
工期	2週間

2階建ての外壁塗装をDIYした場合の費用

最近はDIYが流行ってて、プロ顔負けで何でも自分でやってしまう器用な方が多い印象です。DIYでのやり方も、YouTubeやSNSで学べるし、ペンキを塗るだけの外壁塗装も、そこまで難しい工事には感じませんよね。

また、外壁塗装を自分でDIYすれば、職人さんの人件費分安く抑えられます。必要なのは道具や材料、足場といった必要経費のみ。

実際、一般的な戸建て住宅をDIYで外壁塗装したら50万円ほどで済みます。具体的な費用は以下の通り。

内容	費用
道具代（ローラーや刷毛など）	約5万円
材料代（塗料や養生シートなど）	約25万円
足場レンタル費用（30日間）	約20万円
合計	約50万円

ただ、安いというメリットだけでなく、外壁塗装をDIYするデメリットもちゃんと理解しておきましょう。

DIYは時間と労力の無駄？

外壁塗装を業者に依頼すると、工事期間は1週間で完了します。しかし、専門知識のない人がDIYで外壁塗装を行うと、早くて3週間は掛かるでしょう。

これは毎日3時間作業した場合であって、週末だけしか作業出来ない場合は数ヶ月に及ぶことも。

もちろん、仕事終わりに作業するわけですから、疲れも溜まります。仕事やプライベートにも支障が出るでしょう。

工期が伸びれば足場のレンタル費用も高くなります。また、一度開封した塗料は時間が経てば固まって使えなくなります。費用も想定より高くなる可能性も考えられます。

DIYはケガや死亡事故といった危険性のリスクも

DIYする上で最も注意すべきことは危険性です。工事に慣れているプロの職人でも、足場に乗る際はヘルメットは必須で、安全帯（命綱）を装着します。それでも、ケガや事故は起きます。

外壁塗装は、それほど危険ということです。

そんな危険な外壁塗装を、普段は別の仕事をしている人がDIYでやろうとするわけですから、厳重に注意しながら作業しなければなりません。

時間がないから安全対策を怠ったり、足腰に疲れが溜まって足を踏み外して落下、なんてことが起きてしまったら、骨折、手術、入院、最悪、死亡事故になりかねません。

外壁塗装を依頼する業者の探し方は？

外壁塗装のDIYはおすすめしませんので、業者に依頼しましょう。外壁塗装を依頼する業者の探し方のポイントは以下の通りです。

• 適正価格で対応してくれる業者
• 施工実績が豊富で信頼できる業者
• アフターサポートも充実している業者
• 口コミや評判が良い業者

外壁塗装業者を探すポイントで最も大事なことが「適正価格て対応してくれる業者」ということです。安ければ良いという考えは大変危険で、相場よりも格段に安いのには必ず理由があります。

例えば、外壁の塗回数が3回でなく1回だとか、塗料の品質が悪いだとか、職人と呼べないような人が施工するとか。「安かろう悪かろう」にはならないようにして下さい。安いといっても数十万円の買い物です。

また、施工実績やアフターサポートも確認しましょう。経験豊富な業者であれば、それだけ仕上がりに期待できます。万が一、施工不良があった場合でもアフターサポートがしっかりしていれば安心。「アフターサポートを行っている＝施工に自信がある」という証拠になるので信頼できます。

あとは、口コミや評判も重要。新しくできた業者を除いて、利用者の忖度ないレビューは業者選びの参考材料となります。

業者探しが面倒、どうやって業者を選べばいいか分からないという方には、「外壁塗装の一括見積もりサイト」がおすすめ。

中立的な第三者の立場で最適な業者を紹介してくれますよ。しつこい営業電話も一切なく、最短・最安値で地元の業者を見つけ出してくれます。

選んだ塗料によって外壁塗装費用は異なる

外壁塗装を行う際、施主様が決めることが2つあります。それは「色」と「使用する塗料のグレード」です。

色に関してはあえて説明するまでもありませんよね。新しい外壁をどんな色にするか？1階部分と2階部分で別の色にするなど、ある程度、自由に選ぶことができます。

肝心なのが「使用する塗料のグレード」です。つまり等級です。グレードが高いと外壁塗装の耐久性が長くなる一方、単価も高くなります。塗料のグレードごとに耐久性と単価を下記の表にまとめました。

グレード	耐久性（年）	単価（㎡）
アクリル塗料	5年	1,400円
ウレタン塗料	10年	2,000円
シリコン塗料	10～15年	2,500円
ラジカル制御形塗料	12～15年	3,000円
フッ素塗料	15～20年	4,000円
光触媒塗料	15～20年	4,500円
無機塗料	20～25年	5,000円

現在、一般的な外壁塗装工事では、耐久性と価格のバランスがとれた「シリコン塗料」が使われています。私が以前勤めていた工務店でも、8割以上の施主様がシリコン塗料を選んでいました。というか、よく分からないから業者の言われるがままにシリコンを選んでいたようにも思えます…。

シリコン塗料以外にも最近増えてきたのが「ラジカル」や「フッ素」といったワンランク上にあたるグレードの塗料。

ラジカル塗料はシリコンに比べて劣化が起きにくい性質があります。耐久性、耐候性に優れており、外壁塗装が長持ちします。また、水溶性で扱いやすいため職人としても作業しやすいのもメリット。作業がしやすいと仕上がりも違ってきますからね。あとは、ほとんどの外壁に塗装可能という点、光沢があるので見栄えも良いという点も注目されています。

フッ素塗料も同様に優れており、汚れを弾く強力な性質（非粘着性）があります。これにより、砂、カビ、コケといった汚れが付きにくく、さらに酸性雨による劣化も抑えられます。耐久性に関しても最長20年と、長期的に考えてメンテナンスコストを抑えられます。

このように、塗料の種類は様々。価格と耐久性のバランスを考えて使用する塗料を選ぶと良いでしょう。

外壁の塗回数は必ず3度塗り

見積もりを確認する際は塗回数に注意して下さい。外壁塗装の基本は3度塗りです。

まずは、外壁材と塗料の密着度を高めるためにシーラーと呼ばれる下塗りを行います。シーラーは透明であったり白色の場合はほとんど。これが1度目。

次に中塗りを行います。中塗りでは先ほどご紹介した「シリコン」や「フッ素」といったグレード別の塗料を使います。これで2度目。

最後に上塗り。中塗りと同じ塗料（作業を明確にするため色違いを使う場合もある）を使って仕上げとなります。これで3度目。

上記の下塗り、中塗り、上塗りの3度塗り工程を行うことが外壁塗装のスタンダードであり常識。逆にこれが1度塗りや2度塗りの場合は施工不良を疑った方が良いでしょう。

1度塗りで見積もりを出せば費用が安くなり見積書の見栄えも良くなりますが、塗回数が少ないと塗膜が薄くなり外壁の劣化も早くなります。外壁塗装の項目があまりにも安い場合は、塗回数を疑いましょう。

外壁の劣化があると費用は更に高くなる

「新築以来、外壁塗装なんて一度もやったことない」
「所々塗装が剥がれていたり、ひび割れしてる箇所がある」

何も珍しい話じゃありません。定期的に外壁をメンテナンスしているお家の方が圧倒的に少ないわけですから。

ただし、「塗装剥がれ」や「ひび割れ」といった外壁の劣化が見られる状態で塗装を頼む場合は、それなりの覚悟が必要。絶対に見積もり費用は高くなりますから。

外壁塗装は下地が肝心です。まずは「塗装剥がれ」や「ひび割れ」を直す「補修作業（下地調整）」が必要となります。

この「補修作業（下地調整）」をケチると、塗装後、数日間はキレイに見えても、数ヶ月後に塗装が剥がれたり、ひび割れたりと、せっかくの外壁塗装が無意味になります。

敷地が狭くて足場を組むスペースがない？

外壁塗装を業者に依頼する際、足場を組むスペースが狭くて不安になってしまう施主様もおられます。

しかし、大抵の場合は問題ありません。敷地内に建物の周囲、幅50cmほどのスペースがあれば足場を組むことは可能です。

また、50cm未満でも省スペースで組むことができる単管足場を使用したり、お隣さんの許可が得られれば、工事期間だけ敷地をお借りして足場を組むことも可能。ちなみに、お隣さんの敷地をお借りすることに関しては民法でも認められています。

民法 第二百九条
土地の所有者は、境界又はその付近において障壁又は建物を築造し又は修繕するため必要な範囲内で、隣地の使用を請求することができる。ただし、隣人の承諾がなければ、その住家に立ち入ることはできない。

引用：e-Gov法令検索

駅前や繁華街、商店街にある建ぺい率100％の建物はちょっと例外ですが、住宅街であれば建ぺい率はせいぜい80％以内。足場を組むスペースは問題ないかと思われます。

ベランダ床の防水処理も忘れずに

2階建て住宅にはベランダが造られている場合が多いと思いますが、ベランダの床がボロボロになってませんか？洗濯物を干すとき、日常的にベランダに出入りしている方は要チェックです。

ベランダの床がボロボロの状態だと、劣化した部分から漏水して建物全体が痛む原因になりかねません。ですので、外壁塗装と一緒にベランダの防水処理もおすすめします。

ベランダの床の防水処理には、ウレタン防水、アスファルト防水、シート防水、FRP防水など、いくつか種類があるので業者と相談して最適な施工を依頼しましょう。

2階建ての外壁塗装相場まとめ

最後に、2階建ての建物を外壁塗装した場合の相場まとめ。坪数ごとの相場は以下になります。

坪数（2階建て）	費用相場
20坪	58万円
30坪	87万円
40坪	116万円
50坪	145万円
60坪	175万円

ただ、こちらはあくまで相場の目安であって正確な見積もり金額ではありません。

外壁塗装工事は千差万別。建物は一軒一軒違います。外壁材や窓の位置、数、条件、外壁の劣化状態も全く異なります。実際に現場を確認しなければ、完璧な見積もりは不可能です。

ですので、業者にご自宅を見てもらって、見積もりを作成した方が確実だと思いませんか？