外壁塗装でおすすめの塗料はどれ？種類やグレード比較をプロが解説

外壁塗装は十数年に1度の大事なリフォーム。どの塗料を使ったりいいか迷っていませんか？

シリコンやフッ素など、様々な種類の塗料には、それぞれに特徴があり、耐久性や価格も異なります。また、同じ種類でもグレードによって性能に差があります。

この記事では、元職人で外壁塗装マニアの尾崎が各塗料の特徴や適した使用環境、コストパフォーマンスなどを詳しく解説します。あなたの家に最適な塗料を見つける手助けとなれば幸いです。

塗料のグレード（種類）耐用年数と単価の比較表

外壁塗装で使う塗料には、主成分の違いを表す「グレード（種類）」の他に「水性と油性」や「1液と2液」といったものがあり、これらの組み合わせによって、価格や耐久性が異なっています。

なかでも、まず最初に決めなければいけないのが塗料の種類「グレード（種類）」です。外壁塗装の見積もり費用はグレード（種類）で決まると言っても過言ではありません。

以下、グレード（種類）ごとの単価と耐久年数を以下の表にまとめました。

グレード（種類）	耐用年数	単価（㎡）
アクリル塗料	5年	1400円
ウレタン塗料	10年	2000円
シリコン塗料	10～15年	2500円
ラジカル塗料	12～15年	3000円
フッ素塗料	15～20年	4000円
光触媒塗料	15～20年	4500円
無機塗料	20～25年	5000円

外壁塗装で一番人気の塗料はシリコン

十数年前の外壁塗装はアクリル塗料やウレタン塗料を使用することが一般的でした。理由は単純、とにかく価格が安いから。

その後、より耐久性が高く、価格的にも比較て安価なシリコン塗料が普及し始めました。

価格はアクリル塗料やウレタン塗料よりもやや高額ですが、耐用年数が倍ほど長いため、塗り替え回数が少なくて済みます。長期的に考えてお得ということでシリコン塗料が外壁塗装のスタンダードとなりました。

今でも、アクリル塗料やウレタン塗料はビルや倉庫の塗装に使われていますが、一般住宅の外壁塗装ではシリコン塗料を選ぶ方がほとんどです。

最近では、高機能塗料のラジカル塗料やフッ素塗料も普及してきましたが、まだまだシリコン塗料が圧倒的人気です。

シリコン塗料はコスパ最強

外壁塗装で最も人気な塗料がシリコン塗料です。一般的に選ばれているグレードの中で、一番単価が安いという点が最大のメリット。

耐用年数も10〜15年と十分に長持ちするため、ラジカル塗料やフッ素塗料が普及しはじめた今もなおシリコン塗料の人気は絶大。

各塗料メーカーによる製品数も多く、塗装業者による施工実績も豊富で安心。外壁塗装工事を安く、そして無難に行いたい方にはシリコン塗料を選ぶべきでしょう。

シリコン塗料で外壁塗装した場合の費用相場

延床（坪）	外壁塗装の費用相場
20	78万円
30	107万円
40	136万円
50	165万円
60	194万円

ラジカル塗料は次世代のスタンダード

ラジカル塗料は、2012年頃に普及し始めたグレードで、比較的、新しい選択肢になります。

一般的には「ラジカル塗料」と呼ばれていますが、その正体は「ベース塗料（シリコン塗料など）にラジカル制御形塗料を足した塗料」です。

つまり、ラジカル塗料は「調味料」のようなものなんですね。

ベースとなる塗料はシリコン塗料を使う場合がほとんど。フッ素にもラジカル塗料を混ぜることは可能ですが、私の周りではあまり聞きません。

ラジカル塗料の耐久年数は12〜15年となっていますが、2012年に誕生したため、現在進行形で実証実験中といったところでしょうか。

シリコンよりもワンランク上の塗料、価格と耐久性のバランスがとれたラジカル塗料もおすすめです。

ラジカル塗料で外壁塗装した場合の費用相場

延床（坪）	外壁塗装の費用相場
20	85万円
30	118万円
40	152万円
50	185万円
60	218万円

フッ素塗料なら耐用年数20年

耐久性に優れているフッ素塗料も、最近ジワジワと人気が高まっています。費用は高くなりますが、長持ちで選ぶならフッ素塗料で間違いなし。

フッ素塗料の特徴は、塗膜が汚れを弾き、酸性雨に強く、紫外線にも強いという点。スカイツリーや六本木ヒルズにも、フッ素塗料が使われているんですって。頻繁に塗り替えできない建物に使われている塗料なんです。

外壁塗装にフッ素を使えば、次の塗り替え時期は20年後が目安。20年後なんて建て替えを考える時期ですからね。まさに「人生最後の外壁塗装」にふさわしい塗料と言えるます。

フッ素塗料で外壁塗装した場合の費用相場

延床（坪）	外壁塗装の費用相場
20	101万円
30	142万円
40	183万円
50	224万円
60	265万円

光触媒塗料はとにかく汚れにくい

外壁が劣化する理由は様々ですが、その多くは汚れが原因です。空気中には、排気ガスや砂埃、大気汚染による細かいゴミやホコリが大量に漂っています。

そういったゴミやホコリが外壁に付着し、雨や湿気でこびり付き、カビのように侵食。外壁を保護していた塗膜を内側から剥がしていきます。

ゴミやホコリが外壁に付着した段階で高圧洗浄すれば、外壁の劣化は抑えられますが、車の洗車のようにはいきませんよね。

そんな悩みを解決してくれる塗料が最新の高機能グレード「光触媒塗料」です。

光触媒塗料の原料である酸化チタンが、紫外線から活性酸素を作り汚れを分解。さらに、光触媒塗料特有の水を弾く効果により、分解した汚れを雨の日に洗い流す仕組み。

太陽や雨といった自然の力で外壁を綺麗に保つことから「セルフクリーニング効果」と呼ばれています。高耐久性はもちろん、ツヤが長持ちすることが光触媒塗料の特徴です。

光触媒塗料で外壁塗装した場合の費用相場

延床（坪）	外壁塗装の費用相場
20	109万円
30	154万円
40	199万円
50	244万円
60	289万円

無機塗料はカビやコケが生えにくい

無機塗料は、成分にガラスや石などの無機物が含まれており、有機成分の少ないことが特徴です。これにより、無機塗料は紫外線に強く、長期にわたる耐候性を発揮します。

試験結果でも、フッ素塗料と比較しても優れた耐用年数が証明されています。さらに、親水性が高く、雨水で汚れを自然に洗い流す低汚染性があり、建物の外観を美しく保ちます。

無機塗料の最大のメリットはカビやコケ、藻の発生を抑制し、根を張ることを防ぐ滅菌効果も備えています。これにより、建材を保護し、建物全体の寿命を延ばします。

また、火に強く、燃えにくいため、二酸化炭素や黒煙の発生を抑え、二次災害のリスクを低減します。

無機塗料で外壁塗装した場合の費用相場

延床（坪）	外壁塗装の費用相場
20	117万円
30	166万円
40	215万円
50	264万円
60	313万円

高機能塗料の人気も高まっている

外壁塗装ではシリコン塗料を選ぶ方がほとんどですが、地球温暖化や電気代の高騰などで光触媒塗料や無機塗料といった耐候性を兼ね備えた高機能塗料の人気も高まっています。

光触媒塗料と無機塗料は耐久性に優れている反面、価格が高いというデメリットがあります。施工事例もまだまだ少なく、取り扱っている塗装店も限られています。

現時点では、予算に余裕がある富裕層向けの塗料ですが、近い未来には外壁塗装のスタンダードになるかもしれません。家電で例えるなら最新家電でしょうか。

遮熱塗料と断熱塗料

遮熱塗料や断熱塗料という言葉を聞いた時、私は愕然としました。まさか、外壁塗料が室内を快適にしてくれる時代になったとは…と。

ちなみに、遮熱とは「太陽の熱を遮る」ことで、断熱は「熱を遮断する」ことです。

つまり、いくら太陽が照りつけても、外気が極寒でも、遮熱塗料や断熱塗料を施工してあれば、幾分かは軽減されるというのです。

遮熱塗料・断熱塗料では「ガイナ」という製品が有名です。なにやら、JAXAのロケット技術を応用して開発されたとか。建築業界は本当に宇宙技術が好きですね。

ガイナに含まれる細かなセラミックの粒子が、断熱材の役割を果たしているのです。まさに「塗る断熱材」です。

遮熱塗料や断熱塗料を使用した外壁塗装は、電気代の抑制につながることから、多くの自治体では助成金や補助金の対象工事としています。

シリコン塗料に比べると、まだまだ高額で非現実的な価格ですが、その効果は折り紙付き。エアコンの効きがイマイチ、断熱性能を高めたい方はお試しあれ！

住居環境や目的にあった塗料を選ぼう

以上、外壁塗装でおすすめの塗料に関する解説になります。外壁塗装でどのグレード（種類）を選ぶかお決まりになりましたか？

簡単にまとめると、

• コスパで選ぶならシリコン塗料
• ワンランク上ならラジカル塗料
• 最後の外壁塗装ならフッ素塗料
• 外壁が汚れやすい環境なら光触媒塗料
• 湿気が溜まりやすい環境なら無機塗料

目的に合わせて「シリコン塗料」「ラジカル塗料」「フッ素塗料」「光触媒塗料」「無機塗料」の5つから選びましょう。

30坪のお宅を外壁塗装した場合、それぞれの塗料の費用相場がこちら。（）内はシリコン塗料と比較した価格差です。

グレード（種類）	外壁塗装の費用相場
シリコン塗料	107万円
ラジカル塗料	118万円（+11万円）
フッ素塗料	142万円（+35万円）
光触媒塗料	154万円（+47万円）
無機塗料	166万円（+59万円）

耐用年数と価格差を見比べて、どのグレード（種類）がコストパフォーマンスに優れているか比較してもいいですね。

さらに深掘りするならば、同じグレード（種類）でもメーカー製品によって若干の違いもあります。

ですが、製品まで比較するとキリがないので、グレード（種類）が決まったら、あとは業者にお任せしてもOK。